Blog/ブログ

Blog/ブログ

HOME > ブログ一覧 >

4月の論文紹介まとめ

  • 研 究

医局SNSでは適宜論文紹介を行っております。紹介する論文は、新しい論文で医局員がオモシロイと思ったものです。
4月に紹介された論文を、コメント共に紹介します。
ご興味ある方はぜひご一読ください。

急性期の視床梗塞患者16名と健常対照群32名を対象に前向き症例対照研究を実施し、睡眠や夜間心拍変動、認知機能を評価しました。結果、視床梗塞患者では、睡眠時間の延長やREM睡眠の変化があり、自律神経では夜間心拍変動の上昇があり、認知機能に関しては処理速度、作動記憶、言語記憶の低下を認めました。特に内側視床病変で作動記憶と言語記憶の成績が最も低下していました。視床梗塞の臨床像は様々ですが、意外とこの辺の症状は臨床上問題にならないせいか向き合うことが少ないように思います。
内側視床病変はtop of basilarで両側障害されるとcomaになることもあるので、非常に多彩な臨床像を呈する面白い部位ですね。
(脳卒中チームより)
Thalamic Stroke and Sleep Study: Sleep-Wake, Autonomic Regulation, and Cognition. Stroke.
Filchenko, Irina et al. stroke. 2025;56.

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/STROKEAHA.124.049156

パーキンソン病関連疾患の日常診療でもよく遭遇する「こむら返り」の治療に何を処方していますか?
芍薬甘草湯がファーストチョイスでしょうか?
「ビタミンK2の補充 180μg/日」も有意に こむら返りの頻度・重症度を改善させることが報告されています!
明日からの診療における選択肢が増えそうですね。
(*Wf内服中の方への使用は注意下さい)
(PDチームより)
Vitamin K2 in Managing Nocturnal Leg Cramps: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med 2024;184:1443-1447. JAMA

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2825457?fbclid=IwY2xjawJ9c6hleHRuA2FlbQIxMABicmlkETFqemhYV2JtNWNSMU05YU1PAR6iK-Nn71iguKnDMfsipJaIgpCI5c85gqhAALCuxTd2CgN2WxBZb5NpJcP2SQ_aem_uP7wqqzqzwd3F_YZpm65iQ

INSPIRES試験(動脈硬化性軽度脳梗塞または高リスクTIA患者に対する集中的スタチン・抗血小板療法)のサブグループ解析です。
CSVDスコア0~2とCSVDスコア3以上の2群に分類。DAPTは両群で出血リスクを増加させたが、CSVDスコア3以上の群ではその増加は有意差なしという結果でした。
臨床的な感覚だとSVDがかなり重度の人でDAPTをloadingしても出血することはあまり見られないように思います。
それを裏付ける結果かなと思います。臨床にすぐ応用できるいい論文ですね。
CMBはデータ欠損が多いため除外されています。やはりCMB数のカウントはどの国でも手こずるわけですね。
(Strokeチームより)
Does the Burden of CSVD Modify the Efficacy of Dual Antiplatelet Therapy? A Post Hoc Analysis of the INSPIRES Trial.
Li, Hang et al. Stroke. 2025;56:00-00.

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/STROKEAHA.124.049826

地中海食は一般に健康食の位置づけであり、MSにおいても疲労の軽減、認知機能の改善、再発や障害進行の抑制が報告されていますが、その機序はほとんど知られていませんでした。今回は地中海食とMyelopoiesisの関係に言及した興味深い論文です。
この研究では、マウスEAEモデルを用いて、M-CSF経路が生活習慣と免疫動態をつなぐ鍵であることを示しました。特にEAEにおいて、M-CSF中和抗体の投与により症状悪化が抑制された点は、M-CSFが新たな治療標的となる可能性を示唆します。
さらに、地中海食の炎症抑制効果は以前より報告されていますが、この研究では地中海食がMyelopoiesisを抑制し、MSの臨床症状を改善する可能性が示されました。
M-CSFと地中海食が今後、さらに衆目を集める可能性があります。
(免疫チームより)
Myelopoiesis is temporally dynamic and is regulated by lifestyle to modify multiple sclerosis
Yates, A.G. et al. Nat Commun 16, 3683 (2025).

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://doi.org/10.1038/s41467-025-59074-w

一覧はこちら
最上部へ
東京慈恵会医科大学 内科学講座 脳神経内科

〒105-8461 東京都港区西新橋3-25-8