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5月の論文紹介まとめ

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医局SNSでは適宜論文紹介を行っております。紹介する論文は、新しい論文で医局員がオモシロイと思ったものです。
5月に紹介された論文を、コメント共に紹介します。
ご興味ある方はぜひご一読ください。

大脳以外の中枢神経系組織における小血管病変である細動脈硬化症(arteriolosclerosis)が運動障害に関与しているかという話題です。脳幹、小脳、脊髄における細動脈硬化と、高齢者の多様な運動機能(パーキンソニズム、手の巧緻性、筋力、歩行)との関連を検討しました。脊髄の細動脈硬化は、より重度のパーキンソニズムおよび手の巧緻性低下と有意に関連し、小脳の細動脈硬化は、タンデム歩行において左右方向の変動増加と関連していました。細動脈硬化による微小循環障害が神経細胞や伝導路に影響をあたえると考察されています。血管性パーキンソニズムは下肢が優位に障害されるというのは、ここに起因するのかもしれませんね。そうなると、頭部MRIでは大したことなくてもparkinsonismが強くでている人がいることも納得です。
(Strokeチームより)
Arteriolosclerosis in CNS Tissues Outside the Cerebrum and Late-Life Motor Impairment
Oveisgharan S et al. Stroke. 2025;56

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/STROKEAHA.124.050002

ロボット支援下(!)の血栓回収術の報告です。シースを挿入したら操作室に移ってガイドワイヤなどのデバイスを操作する、というダヴィンチに近い仕組みのようです。少なくとも術者への被爆は減らせるとのことです。このまま行くといつか血管内治療も全自動になる時代が来るのでしょうか…?
Use of a Robot-Assisted Thrombectomy System in Acute Ischemic Stroke.
Yang M, Sun H, Li L, et al. JAMA Neurol. 2025;82(5):525–527.

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://jamanetwork.com/journals/jamaneurology/article-abstract/2831979?fbclid=IwY2xjawKrH-FleHRuA2FlbQIxMABicmlkETFZZmJYMGh5bFkwVHJUVnFzAR4W7QF65-9GuOSUm9jcsnxqW-m3hhCi9ztISzpY5cb-n1_o9hbTZ5Y21QgD1Q_aem_vRU5SThFbpTe76bMsTZ04w

パーキンソン病とMSA-P、PSPの鑑別において、AIを用いた画像解析が、高い診断精度を示しました。
本研究では、脳の拡散MRIから得られるfree-water(FW)および補正後のfractional anisotropy(FAt)という指標をもとに、人工知能(AI)を用いてパーキンソン病(PD)とその他のパーキンソン症候群(多系統萎縮症パーキンソニズム型:MSA-P、進行性核上性麻痺:PSP)の鑑別精度を評価しました。
PD vs MSA、PD vs PSP、MSA-P vs PSPの鑑別で、 ROC曲線の曲線下面積(診断の正確さを示す指標)はいずれも0.98以上と非常に高く、特異度・感度ともに90%程度を示しました。また、剖検例を用いた検証では、AIによる診断精度は専門医の診断を上回ることもありました。
臨床現場でも、MRI画像とAI解析を組み合わせることで、診断精度の向上が期待されます。
(PDチームより)
Automated Imaging Differentiation for Parkinsonism.
Vaillancourt DE, et al. JAMA Neurol. 2025 May 1;82(5):495-505.

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11915115/

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東京慈恵会医科大学 内科学講座 脳神経内科

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