大脳以外の中枢神経系組織における小血管病変である細動脈硬化症(arteriolosclerosis)が運動障害に関与しているかという話題です。脳幹、小脳、脊髄における細動脈硬化と、高齢者の多様な運動機能(パーキンソニズム、手の巧緻性、筋力、歩行)との関連を検討しました。脊髄の細動脈硬化は、より重度のパーキンソニズムおよび手の巧緻性低下と有意に関連し、小脳の細動脈硬化は、タンデム歩行において左右方向の変動増加と関連していました。細動脈硬化による微小循環障害が神経細胞や伝導路に影響をあたえると考察されています。血管性パーキンソニズムは下肢が優位に障害されるというのは、ここに起因するのかもしれませんね。そうなると、頭部MRIでは大したことなくてもparkinsonismが強くでている人がいることも納得です。 (Strokeチームより) Arteriolosclerosis in CNS Tissues Outside the Cerebrum and Late-Life Motor Impairment Oveisgharan S et al. Stroke. 2025;56
ロボット支援下(!)の血栓回収術の報告です。シースを挿入したら操作室に移ってガイドワイヤなどのデバイスを操作する、というダヴィンチに近い仕組みのようです。少なくとも術者への被爆は減らせるとのことです。このまま行くといつか血管内治療も全自動になる時代が来るのでしょうか…? Use of a Robot-Assisted Thrombectomy System in Acute Ischemic Stroke. Yang M, Sun H, Li L, et al. JAMA Neurol. 2025;82(5):525–527.
パーキンソン病とMSA-P、PSPの鑑別において、AIを用いた画像解析が、高い診断精度を示しました。 本研究では、脳の拡散MRIから得られるfree-water(FW)および補正後のfractional anisotropy(FAt)という指標をもとに、人工知能(AI)を用いてパーキンソン病(PD)とその他のパーキンソン症候群(多系統萎縮症パーキンソニズム型:MSA-P、進行性核上性麻痺:PSP)の鑑別精度を評価しました。 PD vs MSA、PD vs PSP、MSA-P vs PSPの鑑別で、 ROC曲線の曲線下面積(診断の正確さを示す指標)はいずれも0.98以上と非常に高く、特異度・感度ともに90%程度を示しました。また、剖検例を用いた検証では、AIによる診断精度は専門医の診断を上回ることもありました。 臨床現場でも、MRI画像とAI解析を組み合わせることで、診断精度の向上が期待されます。 (PDチームより) Automated Imaging Differentiation for Parkinsonism. Vaillancourt DE, et al. JAMA Neurol. 2025 May 1;82(5):495-505.