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4月の論文紹介まとめ

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医局SNSでは適宜論文紹介を行っております。紹介する論文は、新しい論文で医局員がオモシロイと思ったものです。
4月に紹介された論文を、コメント共に紹介します。
ご興味ある方はぜひご一読ください。

1.Striatal Dopamine Transporter and Rest Tremor in Parkinson Disease: A Clinical Validation.
Niemi KJ, et al.  Neurology. 2026 Apr 14;106(7):e214811. doi: 10.1212/WNL.0000000000214811.

パーキンソン病の三徴のうち、無動・固縮は対側線条体のドパミン機能低下と関連することがよく知られていますが、安静時振戦の機序はなお不明です。本研究は、2014~2020年に臨床的にパーキンソニズムまたは振戦が疑われ、[123I]FP-CIT SPECTを施行された右利き患者を対象とした多施設横断研究です。414例のうち、最終診断はPD 148例、DAT低下を伴う非PDパーキンソニズム79例、DAT正常187例でした。解析はベースラインデータを用い、年齢、性別、内服状況、運動症状重症度などで調整したvoxel-wise linear modelで行われました。追跡期間中央値は3.0年で、追跡情報は診断確定に用いられました。
結果として、PD群では左右いずれの安静時振戦振幅も、同側線条体DAT結合と正の相関を示しました。一方、左右の無動は主として対側線条体DAT結合低下と、固縮も対側線条体DAT結合低下と関連していました。つまり、無動・固縮が「対側ドパミン欠乏」と結びつくのに対し、安静時振戦はむしろ「同側DAT保持」と関連する、対照的なパターンが示されました。なお、この傾向は非PD群では一貫してみられませんでした。 つまりパーキンソン病の運動症状のうち、筋強剛、動作緩慢は対側のドーパミン神経変性と関連しますが、振戦の振幅は同側のドーパミン神経変性と関連するということとなり、安静時振戦は無動・固縮とは異なる回路病態を背景に持つ可能性が示唆されました。
PDの運動症状を一括して「ドパミン低下」で説明するのではなく、症候ごとに異なる神経基盤を考える必要があることを示す興味深い報告です。
(PDチームより)

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://www.neurology.org/doi/10.1212/WNL.0000000000214811

2.Outcomes of patients with pre-stroke disability after acute ischemic stroke and endovascular thrombectomy.
Salam A, Butt W, Diestro JDB, et al. Journal of NeuroInterventional Surgery
Published Online First: 27 March 2026. doi: 10.1136/jnis-2026-025017

発症前から中等度〜重度の障害(mRS 3–5)を有する脳梗塞患者はRCTなど主要試験では除外されることが多いですが、これらの患者に対する血栓回収術(EVT)の有効性と安全性を検討した英国の全国レジストリ(SSNAP)を用いた後ろ向き研究です。
EVTを受けた 4353例を対象とし、mRS 0–2群(自立):4150例、mRS 3–5群(要介助):203例を対象とし、転帰良好の定義をmRS 0–2群:mRS 0–2、mRS 3–5群:ベースラインから悪化しないこととしました。
結果、退院時・6か月後の転帰良好の割合は両群で有意差がなく、症候性頭蓋内出血(sICH)や早期神経悪化(END)といった安全性も同等でした。一方で院内死亡は高いはmRS 3–5群で24.1%、mRS 0–2群で11.8%と有意に高い結果となりました。
脳梗塞患者の約1/3が既存障害あり、10%が認知症ありと言われているので、日常臨床ではよく遭遇する問題です。
mRSは身体機能を過大評価し、認知機能を過小評価するので、本当にmRS 5だから血栓回収術をやらないことが正当化されるか微妙です。AHAの2022年の推奨ではmRSのみでの除外は推奨されていません。個別化して考えることが推奨されています。最近ではフレイルと血管内治療の成績の関係も注目されており、こうした新たな指標を加味することが求められてくるのかもしれませんね。今後の進展に注目です。
(strokeチームより)

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41895849/

3.TRUE-MOGAD Score: A Novel Scoring System to Identify MOGAD Among Positive MOG-IgG Test Results.
Vilaseca A, et al. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2026 May;13(3):e200563.
doi: 10.1212/NXI.0000000000200563. Epub 2026 Apr 1.

実臨床において、MOG抗体の解釈は重要です。MSのような臨床像でMOG抗体が陽性の場合、どのように解釈すれば良いでしょうか。
今回の論文紹介は、MOG抗体陽性患者の中から真のMOG抗体関連疾患(MOGAD)を正確に特定する「TRUE-MOGADスコア」を開発・検証した論文です。
Mayo Clinicの抗体陽性患者215名を対象に、2023年MOGAD診断基準を真陽性の基準としてTRUEMOGADスコアを検証した結果、スコア2点以上で感度92.0%、特異度97.3%(AUC 0.983)と極めて高い精度を示しました。
TRUE-MOGAD scoreは頭文字をとって
Titers (clear positive: +1)
Relapsing optic neuritis (≥3 optic neuritis: +1)
Under 18 years at onset (+1)
Encephalitis phenotype (ADEM or cortical encephalitis: +2)
MRI or other supportive features (+2)
Oligoclonal bands restricted in CSF (−2)
Gradual progression (−2)
Abrupt onset (−2)
Disappearance of at least 1 T2 lesion (+1).
で計算されます。
今後TRUE-MOGAD scoreを用いることで、多発性硬化症など類似疾患による偽陽性を適切に除外し、臨床現場での正確な診断と治療方針の決定を支援する実用的なツールとなることが期待されます。
(神経免疫チームより)

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41921125/

4.Catheter Ablation and Oral Anticoagulation for Secondary Stroke Prevention in Atrial Fibrillation: The STABLED Randomized Clinical Trial.
Kimura K, et al. JAMA Neurol. 2026 Apr 1;83(4):329-338.
doi: 10.1001/jamaneurol.2026.0155.

今週は当院も参加したSTABLED試験の紹介です。
心房細動患者の中でも、脳卒中を発症した患者は再発リスクが有意に高いとされています。カテーテルアブレーションは心房細動の治療として確立していますが、脳卒中発症後早期の患者(高齢で併存疾患が多いなど脆弱な傾向がある集団)に対する安全性と有効性は十分に明らかになっていませんでした。そこで本研究は、最近虚血性脳卒中を発症した心房細動患者を対象に、標準の抗凝固療法(エドキサバン)にカテーテルアブレーションを追加することで、脳卒中の再発やその他の複合アウトカムのリスクを低減できるかを評価することを目的として実施された多施設共同の非盲検ランダム化比較試験です。
対象は、20歳以上85歳以下で非弁膜症性心房細動があり、登録の6ヶ月以内に虚血性脳卒中を発症し、エドキサバンを服用中または服用予定の患者(mRSスコアが3以下)としました。対象患者は、標準治療(エドキサバン単独)群と、標準治療にカテーテルアブレーションを追加する群に1対1でランダムに割り当てられました。アブレーションはエドキサバンを4週間以上投与した後、脳卒中発症から1〜6ヶ月の間に実施されました。主要評価項目は、再発性虚血性脳卒中、全身性塞栓症、全死因死亡、および心不全による入院の複合エンドポイントと設定されました。
結果、計251名が登録され、解析対象となった249名(平均年齢71.7歳、男性75.1%)が標準治療群124名とアブレーション群125名に割り当てられました。3年以上(中央値)の追跡期間中、主要評価項目の発生率は標準治療群で100人年あたり4.9件(18.0%)、アブレーション群で100人年あたり5.6件(18.0%)であり、両群間に統計的な有意差は認められませんでした(ハザード比 1.11、P = 0.70)。再発性虚血性脳卒中の発生率は、標準治療群の100人年あたり3.1件に対し、アブレーション群では2.5件でした。全死因死亡率は標準治療群が100人年あたり1.0件、アブレーション群が2.8件でした。なお、アブレーション手技に関連する有害事象としては、心タンポナーデと脳卒中がそれぞれ1件(各0.8%)報告されました。
今回の臨床試験では、最近の脳卒中既往歴がある心房細動患者において、標準治療にカテーテルアブレーションを追加しても、主要複合エンドポイントのリスクを有意に低下させることはできませんでした。ただし、標準治療群におけるイベント発生率(特に脳卒中再発率など)が事前の予想よりも低かったため、この試験には臨床的に意味のある差を検出するための十分な統計的検出力が備わっていなかった可能性が示唆されています。イベントの発生率が抑えられていること自体は喜ばしいことではありますが、今後のさらなる研究に期待です。
最後になりますが、日本医大の木村和美前教授を始めとした本試験に関わった皆様方に深く感謝申し上げます。publishおめでとうございます!
(strokeチームより)

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://jamanetwork.com/journals/jamaneurology/fullarticle/2845745

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東京慈恵会医科大学 内科学講座 脳神経内科

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