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7月の論文紹介まとめ

  • 研 究

医局SNSでは適宜論文紹介を行っております。紹介する論文は、新しい論文で医局員がオモシロイと思ったものです。
7月に紹介された論文を、コメント共に紹介します。
ご興味ある方はぜひご一読ください。

多発性硬化症において視床が萎縮することは以前から知られていますが、萎縮に関する病態は未だ明らかではありません。今回紹介する論文は、死後脳の視床をMRIと免疫組織化学染色で解析することで、視床内側と後方が前方と外側に比べてより高度に萎縮していること、病態として脱髄よりもミクログリアの密度増加、形態学的複雑化、シナプス貪食能の亢進といった表現型の変化が関連していると報告しています。著者らは、視床萎縮のメカニズムとしてtwo-hit modelを提唱しています。まず、白質の変性、軸索損傷によるワーラー変性が生じ(第1のhit)、局所の髄液因子によりミクログリア応答が過剰に活性化(第2のhit)することで、視床の萎縮が促進されるというものです。ミクログリアが原因か結果か、議論は未だ残りますが、視床の萎縮とミクログリアに焦点を当てた点においてこの論文は画期的であり、今後BTK阻害薬等との関連も注目されます。(神経免疫チームより)
Thalamic atrophy in multiple sclerosis is associated with tract disconnection and altered microglia.
Rodriguez-Mogeda, C., Koubiyr, I., Prouskas, S.E. et al. Acta Neuropathol 149, 52 (2025).

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://doi.org/10.1007/s00401-025-02893-4

心房細動を伴う急性虚血性脳梗塞患者における早期(発症後≤4日)と遅延(発症後≥5日)の直接経口抗凝固薬(DOAC)開始時期を比較したメタ解析になります。TIMING、ELAN、OPTIMAS、STARTの4試験(計5,441例)を抽出し、再発性虚血性脳梗塞、症候性脳内出血、または分類不能の脳卒中の複合発生率は早期DOAC開始群(2,683例)で2.1%、遅延開始群(2,746例)は3.0%であり、オッズ比0.70(95%CI 0.50–0.98, p=0.039)と有意に低下していました。症候性脳内出血は増加しておりませんでした。
RCTがいくつかでていたので、そろそろmeta解析がでるかな、と思っていたところでした。
START以外は早期と晩期で差はないとの結論でしたが、統合解析するとしっかりと差がついています。
ただし、この解析は梗塞巣の大きさは加味されていません。
今後大梗塞に関してのメタ解析も出るようなので、そちらを待ちたいと思います。(strokeチームより)

Collaboration on the optimal timing of anticoagulation after ischaemic stroke and atrial fibrillation: a systematic review and prospective individual participant data meta-analysis of randomised controlled trials (CATALYST)
Dehbi, Hakim-Moulay et al. Lancet, 406; 10498, 43-51

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40570866/

パーキンソン病の原因に「腎臓」が関係?
これまで、腎機能障害のある患者ではパーキンソン病(PD)の発症率が高いことが知られていましたが、その理由は不明でした。今回、中国からPDの病態進展に関する新たな知見が報告されました。
PDや末期腎不全の患者の腎臓には、α-シヌクレイン(α-Syn)が沈着していることが確認されました。さらに、腎不全マウスにα-Synを静脈投与すると、腎臓と脳へのα-Syn沈着が促進されました。また、腎臓内にα-Synフィブリルを注入すると、腎臓から脳へとα-Syn病理が広がりました。ただし、腎臓の神経を切断すると、この広がりは抑制されました。このように、腎臓がパーキンソン病の病因となる異常タンパク(α-Syn)の発生源になる可能性が示唆されています。今後の研究の進展に注目です。(PDチームより)
Propagation of pathologic α-synuclein from kidney to brain may contribute to Parkinson‘s disease.Xin Yuan, et al. Nature Neuroscience 2025. 28: 577–588

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39849144/

今回はCEA中に2MHzのTCDを装着して、塞栓子を溶解し術中の脳虚血イベントを減らそうというSONOBIRDIE Trialの紹介です。結果としては虚血イベントが有意に減少した一方で、出血などの有害事象は2群間で不変でした。CEA中のTCDの装着はMESのモニタリングにもなるため、塞栓子を超音波で溶かして虚血イベントを防げるとなれば一石二鳥!
超音波の新時代の幕開けを感じさせる結果ですね。(strokeチームより)
Sonolysis during carotid endarterectomy: randomised
controlled trialDavid Školoudík et al. BMJ 2025;388:e082750

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://www.bmj.com/content/bmj/388/bmj-2024-082750.full.pdf

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東京慈恵会医科大学 内科学講座 脳神経内科

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