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9月の論文紹介まとめ

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医局SNSでは適宜論文紹介を行っております。紹介する論文は、新しい論文で医局員がオモシロイと思ったものです。
9月に紹介された論文を、コメント共に紹介します。
ご興味ある方はぜひご一読ください。

1.Alteplase for Acute Ischemic Stroke at 4.5 to 24 Hours: The HOPE Randomized Clinical Trial.
Zhou Y, et al. JAMA. 2025 Sep 2;334(9):788-797.

発症から4.5~24時間の虚血性脳卒中患者で、灌流画像により救済可能脳組織が確認され、大血管閉塞の有無にかかわらず血栓回収療法を予定していない場合のアルテプラーゼ静注の安全性と有効性を評価したHOPE試験の紹介です。
90日後にmRS 0–1を達成した割合は、アルテプラーゼ群40%(75/186例)、対照群26%(49/186例) 調整リスク比1.52、95%CI 1.14–2.02、P=0.004)、sICHの発生率はアルテプラーゼ群3.8% vs 対照群0.5%(調整リスク比7.34、P=0.01)と有意に増加しましたが、90日死亡率は両群とも11%で差はありませんでした。24時間以内へのtPAはTIMELESS, TRACE3に続いて3つめのRCTです。TRACE3と同じEVT非実施例でのRCTで、同じような結果が得られました。
HOPEでは中・遠位部の閉塞(DMVO)例が1/3程度含まれており、近年風当たりが強いDMVOへの血栓回収術を後押ししてくれる結果でした。
これを皮切りにDMVOを治療する流れができるのか、Let’s wait and see with hope!
(strokeチームより)

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40773205/

2.Gut Microbial Metabolites and Future Risk of Parkinson’s Disease: A Metabolome-Wide Association Study.
Zhao, Y. et al. Mov Disord, 2025;40: 556-560.

発症前から始まる腸–脳対話:微生物代謝物とパーキンソン病リスクの関連!!
ヨーロッパの大規模前向きコホート(EPIC4PD)を用いて、血中の腸内細菌由来代謝物と将来のパーキンソン病(PD)発症リスクとの関連を検討した研究の紹介です。
診断前に採取された血漿を対象にメタボロームワイド解析を行った結果、13種類の微生物代謝物がPDリスクと名目上関連を示しましたが、多重検定補正後には有意差は残りませんでした。
さらに、バリン・ロイシン・イソロイシン分解、ブタン酸代謝、プロパン酸代謝の3つの代謝経路がPDリスクに関連しており、特に男性、喫煙者、肥満者で関連が強く認められ、個人特性が腸内代謝物とPDの関連に影響する可能性が示されました。
本研究は、PD発症前からの腸内代謝物変化が疾患リスクに関与する可能性を示す初の大規模前向き研究であり、腸–脳連関の理解に新たな視点を提供しました。(PDチームより)

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://doi.org/10.1002/mds.30054

3.Oral anticoagulation versus no anticoagulation for stroke prevention in patients with intracranial
haemorrhage and atrial fibrillation: an updated metaanalysis of randomised controlled trials
D’Anna L, et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry 2025;96:919–927. doi:10.1136/jnnp-2025-336169

心房細動(AF)患者における経口抗凝固療法(OAC)は脳梗塞予防に有効であるが、頭蓋内出血(ICH)の既往がある患者では再出血のリスクから使用が議論となっております。
今回はAF既往ICH患者を対象にOAC群と非抗凝固群を比較したRCTを抽出し、メタ解析を行いました。主要評価項目は虚血性脳卒中発症率と再発性ICH、複合評価指標としてnet clinical benefit:虚血性脳卒中+再発性ICHです。4件のRCT、計653例が対象となり、OACは虚血性脳卒中を有意に減少させた(リスク比[RR]0.23, 95%CI 0.06–0.91)一方で、ICH再発リスクは増加しました(RR 3.60, 95%CI 1.40–9.30)。全死亡や心血管死には有意差はなく、net clinical benefitは有意差なく(RR 0.72, 95%CI0.42–1.24)、ICH既往のAF患者においてOACの総合的な利益は明確ではありませんでした。
過去のメタ解析とも結論が異なり、続報を待ちたいところです。(Strokeチームより)

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40695584/

4.Neuroimaging Findings in Children and Young Adults With Neurotoxicity After CAR T-Cell Therapy for B-Cell Malignancies. Neurology. 2025;105(7).

Neurologyに免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)に関する論文が出ていました。これは、CAR-T療法後のICANSにおける神経画像所見を体系的に分析した多施設共同研究で、急性期では小児・若年成人96例中36%に頭部MRIで異常を認め、その多くは白質、脳幹、視床に特異的なT2/FLAIR高信号病変として出現したと報告されています。画像異常の有病率はICANSの臨床グレードと正に相関していましたが、特定の神経症状との関連は認められなかったようです。
現状ではICANSは血液腫瘍内科領域の治療関連有害事象ですが、今後神経免疫疾患においてもCAR-T療法が臨床応用される可能性があります(Granit V. Lancet Neurol.2023)(Chung JB. Nat Rev Immunol. 2024)。悪性リンパ腫よりも免疫疾患に対するCAR-T療法の場合はICANSの発生率は少ないようですが、今後は脳神経内科医もCAR-T療法やそれに関連した有害事象(ICANSやサイトカイン放出症候群(CRS))の理解が求められる時代になりそうです。
(神経免疫チーム)

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://www.neurology.org/doi/10.1212/WNL.0000000000214086

5.Diagnosis of multiple sclerosis: 2024 revisions of the McDonald criteria.
Montalban X, Tintoré M, Lebrun-Frénay C, et al. Lancet Neurol. 2025;24(8):850-865.

多発性硬化症について、Lancet Neurologyに待望の改訂McDonald診断基準2024が記載されました。paraclinicalな検査(MRI)が必須であることが明記され、従来の2017年の診断基準と比較して時間的多発は診断に必須ではなくなり、MRIの空間的多発とMRI画像バイオマーカー、髄液バイオマーカーを組み合わせることで早期の診断が可能となりました。より詳しくは、ECTRIMS2024で発表された通り、①視神経が空間的多発の1領域に加わり、②RISも条件を満たせばMSと診断可能となり、③Central vein sign (CVS) 、Paramagnetic rim lesions (PRLs)が新たな画像バイオマーカーとして、Kappa free-light chains (kFLC)がOCBを代替する新たな髄液バイオマーカーとして採用されました。
従来はMSの治療はearly high efficacy therapyがスタンダードとなっていますが、今後臨床においては、MSを満たしたRISについて、初めからhigh efficacy therapyとなるのか、あるいはmoderate efficacyから開始するのが適切なのか、注視していきたいです。
(神経免疫チーム)

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://doi.org/10.1016/S1474-4422(25)00270-4

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東京慈恵会医科大学 内科学講座 脳神経内科

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