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8月の論文紹介まとめ

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医局SNSでは適宜論文紹介を行っております。紹介する論文は、新しい論文で医局員がオモシロイと思ったものです。
8月に紹介された論文を、コメント共に紹介します。
ご興味ある方はぜひご一読ください。

1.Noncontrast Head CT Alone vs CT Perfusion in Basilar Artery Occlusion Thrombectomy,
Thomas R. Ford, Brian Silver et al.Neurology, 105, 3, (2025).

中国からの急性脳底動脈閉塞(BAO)に対する血管内治療(EVT)の適応を、非造影CT(NCCT)で選択した場合とCT灌流(CTP)で選択した場合で比較した研究になります。ATTENTIONおよびATTENTION IA試験の個別患者データを用いた事後解析です。
発症推定24時間以内にBAOを発症しEVT適応とされた患者を、NCCT選択群(n=274)とCTP選択群(n=132)に分類し、90日後mRS 0–3達成率はNCCT群48.5%、CTP群45.5%(p=0.56)、mRS 0–2(37.2% vs 33.3%, p=0.44)、症候性頭蓋内出血(4.5% vs 7.5%, p=0.29)、90日死亡率(32.1% vs 34.9%, p=0.83)では群間差はありませんでした。
BAOのCT/CTPの画像検査は出血の否定の一点が最重要であり、よほどcoreが大きい症例でない限りは造影の結果はEVT適否の選択にそこまで影響しないのではと思いました。(strokeチームより)

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://www.neurology.org/doi/10.1212/WNL.0000000000213911

2.Early Tirofiban Infusion after Intravenous Thrombolysis for Stroke.
Tao C, et al. N Engl J Med. 2025 Jul 4.

中国の38施設で実施されたASSET-IT試験の紹介です。発症4.5時間以内にt-PA静注療法を受け、血栓回収術適応外と判定された非心原性脳梗塞患者を対象に、血小板グリコプロテインIIb–IIIa受容体拮抗薬であるTilofiban(日本では未認可。24時間持続静注)をt-PA静注療法完了後60分以内に投与を行いプラセボ群と比較した試験です。
90日後にmRS 0~1を達成した割合はTilofiban群65.9%に対しプラセボ群54.9%(リスク比1.20; 95% CI 1.07–1.34; P=0.001)、症候性脳内出血はチロフィバン群で1.7%(プラセボ群0%)、90日死亡率はそれぞれ4.1%および3.8%です。
血栓溶解療法後の早期抗血栓薬開始の試験では、MOST試験(アルガトロバン or eptifibatide併用)、ARAIS試験(アルガトロバン併用)などがありますが、有意差はありませんでした。一方で、tPAは4時間で99%が排泄されるといわれており、抗血栓薬の開始に24時間待たないといけないのかは疑問です。今後の展開を待ちましょう。(strokeチームより)

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2503678

3.Trial of Lixisenatide in Early Parkinson’s Disease.
Meissner, Wassilios G et al. N Engl J Med 2024;390(13) :1176-1185.

2型糖尿病で使用されるGLP-1受容体作動薬のリキシセナチドがパーキンソン病モデルマウスで神経保護作用が示されており, その効果を臨床で検証されました。
方法: パーキンソン病の診断から3年未満の患者を対象にリキシセナチド群とプラセボ群に無作為割り付け, 12ヶ月後の運動症状(MDS-UPDRS Part III)の変化を評価。
結果:運動症状(MDS-UPDRS Part III)の変化はリキシセナチド群でわずかに改善(-0.04)し, プラセボ群では悪化(+3.04)した。但し, リキシセナチド群では吐き気や嘔吐などの消化器症状が多くみられた。
Lixisenatide(リキシセナチド)がアマンタジンやゾニサミドのようにパーキンソン病治療薬として転用され, 治療選択肢の幅が広げることを期待しています。
(PDチームより)

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2312323

4.Volumetric MRI Comparing Longitudinal Change in MOGAD to NMOSD, MS and Healthy Controls, and Disability Associations
Kunchok A, et al. Ann Neurol. 2025 Jul 29. Online ahead of print.

炎症性脱髄疾患における脳萎縮は以前から重要なtopicの1つですが、MOGADにおいて脳容積が経時的に減少するのか、またMSやNMOSDとの相違点についてはよく分かっていませんでした。この論文では、MOGAD患者の脳MRIを定量的に評価し、MS・NMOSD・健常者との経時的変化を比較、さらに脳容積変化と臨床障害度との関連を検証しています。線形混合モデルを用いた結果、MOGADは健常者と比較して経時的な脳容積の減少を示しましたが、MSと比べて深部灰白質(視床・大脳基底核)は 相対的に保たれており、NMOSDと比較して上位頚髄の萎縮は緩やかでした。各病態の相違を反映して萎縮の様式に差が出たと考えられ、興味深い報告と考えます。MOGADやNMOSDにおいて真のsilent progressionが存在するのか、今後も注目していきたいです。
(神経免疫チーム)

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ana.27309

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東京慈恵会医科大学 内科学講座 脳神経内科

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